「せんとくん」騒動。

最近は大分下火になってきた「せんとくん」騒動。
選考が密室状態であったことや、他イベントのキャラクターとは比べものにならないほどの予算付けがされたことなどから、決定後に問題が噴出したアレである。
おまけに、名前を付けてみたら神戸市兵庫区の「福原遷都まつり」で使用されているキャラクター名と呼び方が同じというミソのつけっぷり(「福原遷都まつり」はセントくん)。
「きもちわるい」など、さんざんな言われような「せんとくん」だが、本当にダメダメキャラクターなのだろうか?


まず、問題を作った原因は下記。
1.広く公募することなく、役所側で依頼した大手広告代理店経由でコンペを行った。
2.選考は密室
3.デザイン予算が他イベントと比べると高額
「1」に関しては、おそらく「信頼性」を重要視したのだろうと推察する。代理店通しだから「信頼がおけるか」というとそういうものでもないのだが、権威が大好きな大多数の役人から見ると、「正しい選択」だったと言えよう。
また、依頼された代理店の名前を見るとそうそうたるメンバーで、「信頼性」というもので考えれば極めて高いと思う。大イベント故、代理店側もいつも以上の「信頼性」を勝ち取ろうと必死になることを予想するのは難しくない。
イベントの規模が規模だけに、業界内外から評価が高く知名度が高い有名どころを揃えたのだろう。
「1」の問題は「3」の問題にも通ずる。
つまり、大手代理店を通してデザイナーを選考したことで、金額が高額になったことが考えられる。
今回のキャラクターデザイン料・著作権料は500万円
これは代理店への報酬なのか、それともデザイナー自身への報酬なのか?
もし代理店への報酬なら、最終的にデザイナーが手にした報酬は、おそらく「ひこにゃん」のデザイナーが手にした報酬とさほど変わらない金額になった可能性は高い。
他のイベントキャラクターの報酬金額から見れば高額だが、イベント内容・使用される規模を考えると妥当な金額である。
個人的には他イベントのキャラクターデザイン料は、「ちょっと安いかな」というところである(金額がさほど出せないから、広く募集するという形を取るのであろうが)。
ただ、これは税金を投入して行われるイベントなので、金額は抑えるだけ押さえるべきだったとは思う。
ちなみに、「仏の手」をイメージしたシンボルマークは1,300万円也。
私としては代理店云々・金額云々よりも、3つの原因の中で一番の戦犯は「2」であると思っている。
「選考が密室」。
これはいかん。どう考えてもいかん。
費用が税金から捻出されている以上、候補を公募せずとも、せめて選考だけは広く意見を求めるべきだったと思う。
今回決まったキャラクターは「童子」に奈良県のシンボルの一つである「鹿」の角が合体したも、という説明がなされている。
しかし、一般市民から見れば「仏」に「角」合体キャラクター。
これじゃお坊さんから非難も出るってものである。
制作デザイナーは仏師であり、氏のモチーフも「童子」が多いと言うことなのだが、そういった知識がないと、ぱっと見た目「仏」 「鹿の角」である。
「仏様を冒涜している!」と言われても、ちょっと仕方ない気がする。
「一般的印象」>「専門家の印象」である。
広く使用するのであれば「一般的印象」も加味しなければならない。
知識がなけりゃ「仏を冒涜したキャラクター」である。このキャラクターを見るであろう大多数の人間に「このキャラクターは違うんです。もっと勉強してください」って言えるか?
そんなキャラクター本末転倒だろう。
「親しみを持って欲しい」という考えからキャラクターが生まれたのだから。
そういった点を考えると、やはり選考だけでも広く世に問うべきだったと思う。その上で決定されていたのなら、反対署名が巻き起こったり、別のキャラクターを考えようという団体が出て来るようなことはなかったかもしれない。
あんまり悪い話ばっかりで終わるのもアレなので、「このキャラクターは大失敗だったのか?」という面を見ると、今のところそう悪いことだけではないような気もする。
今回の騒動で「せんとくん」は方々の番組に出た。それも無料。
「気持ち悪い」などなど言われながら、それでも「奈良でお祭りがあるらしい」という知識を植え込んだ。
そう考えると、決して「失敗」とは言い難い。
それどころか、とんでもない経済効果を出す可能性もある。
奈良県民からすると、このキャラクターは「ちょっと・・」なのだろうが、キャラクターの使命は「観光客をがっぽがっぽ呼び込む」ことにある。
広く紹介する、と言う使命は十二分に果たしている。なにせ、意味はどうあれ、ものすごく「注目」されたんだから。制作金額ぶんの働きをしていると私は思うのだが。
奈良県民などからは「ひこにゃんみたいなキャラクターだったら良かったのに・・」と言われていることもあるらしいが、二番煎じに未来はない。
それに「ひこにゃん」が「猫」で「赤い兜」をつけているのは、ちゃんとした理由がある。
彦根藩の藩主があるお寺で雨宿りしていたところ、猫に手招きされた。
手招きされたんで近づいていくと、先ほど雨宿りしていた場所に雷が落ちた。
やー。助かった助かった・・と言うことで、藩主は感謝してそのお寺を菩提寺にした。それが東京の豪徳寺である。だから豪徳寺には招き猫がいっぱいいる(この話は諸説有り)。
また兜も彦根藩主・井伊家由来の赤備えの兜がその由来である。
「ひこにゃん」は最近流行の「ゆるキャラ」であるが故に万人受けした。また、動物キャラクターであることも幸いしていると思う。
そのうえ、中の人の動きも相まってブレイクしたものと思われる。
動きといえば、中日ドラゴンズの「ドアラ」はちょっとキモイ。
顔は不自然に笑顔。しかし体は筋肉質。ちょっとキモイ。
しかも挙動不審。
だがこの3つがいいように作用して、いまじゃ売れっ子である。キャラクターグッズも売り切れまくり、出した本も売れまくり。
一時期はリストラ対象になっていたのだから、その時リストラしなくて良かったねーである。
キモイ、キモイと言われながら、他の素材をのばすことによって、それを逆手に取ってしまったと言うところでは、このキャラクターも成功である。
「かわいい」は日本人にとって大切なファクターである。
でも「かわいい」だけのキャラクターではダメ。宣伝マンである以上、それなりの実績を残さないと。特に、今回は期間限定のイベントである。イベント期間中に沢山の観光客を呼び込まなければ意味がない。
そう言ったことを考えると、たしかに不気味なキャラクターではあるが、話題作りという点では大成功したと思う。
キャラクターの価値というのは、かわいさ以上にいかに収益を増やすかにかかっている。
そう言った点では期待できるが・・・でも地元の土産物屋さんが「マイナスイメージが強すぎで使いたくない・・」って言ってたんだよね。
でもインパクトは限りなくあって、話題性ってことを考えると、これはこれでいいんじゃないかと思うのですが。
なかなか難しいですな。

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