Shift11:Webデザイン行く年来る年 (CSS Nite LP55)に行ってきた。

Shift11:Webデザイン行く年来る年(CSS Nite LP55)

2017年最初で最後のCSS Niteは「Webデザイン行く年来る年」。
2011年頃から毎年参加しているのですが、Blog記事は飛び飛びと言う…。

CSS Niteに参加する月は、もれなく忙しくなるというのがお約束になっており、力尽きているという情けない理由です。

毎回盛りだくさんで13:30-19:50という長丁場。時間だけ見るとすごい長さなんですが、これが結構あっという間に終わる。

今回は「shift marketplace」という展示や即売会ブースもあり、お祭り要素もあったのかなあと思います。
というか、年末土曜日のうららかな午後に、380名ものデザインに従事する人々が集まっているとか、ちょっと変態だと思います(ほめ言葉)。

セッションは以下の通り。いつものように敬称略。

  1. 基調講演:今までの10年。これからの10年(長谷川 恭久)
  2. 2017年のマークアップの話題を総まとめ(小山田 晃浩 / 久保 知己)
  3. これだけ押さえればOK!Adobeのツールを最大限活用するWebデザイン手法【2017】(浅野 桜 / 黒野 明子)
  4. アクセシビリティ 改め インクルーシブデザイン?(植木 真 / 土屋 一彦)
  5. マーケティングの矛盾:事例で振り返る2017年のウェブマーケティング(益子 貴寛 / 安達 里枝)
  6. フォントまわりのトレンド2017(鷹野 雅弘 / 関口 浩之)
  7. スマホアプリにおけるUIデザインのトレンド2017(佐藤 洋介)
  8. Webデザイントレンド祭り 2017 – 次の10年のはじまり(原 一浩 / 矢野 りん / 坂本 邦夫)
  9. 今までの10年。これからの10年。(エピローグ)(中川 直樹)

そして、毎度の事ながら、参加者様のつぶやきもお借りしました。ありがとうございます。

基調講演:今までの10年。これからの10年

『強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ。』とダーウィンが語ったと言われるのは創作らしいけど、何事も時代に即して変化していくしか対抗手段はなさそう。

iPhoneが登場して10年。
めまぐるしく変わったWebデザインの立ち位置や考え方と、この先10年何が必要か?というのが主題。

  1. 情報設計
  2. 様々な形状のデザイン
  3. デザインの言語化

デザインが「見た目」だけのものから脱して、本来の働きである「情報を伝えること」にフォーカスが当たる結果、デザイナーにも情報設計や可変可能なデザイン、そのデザインを言語化する能力が必要になる。
古いものを土台に、新しい考え方・伝え方を身につけてデザインを楽しむしかないな…なんて思いました。

ヤスヒサさんのセッションは、少し面白い仕掛けがあって、


講演しながら、実況ツイートが流れてくる。


面白いサービスも本当に多くなったよね。

2017年のマークアップの話題を総まとめ

Twitterのアイコンイメージが強いのか、ギャル男なイメージを勝手に持ってしまっている小山田 晃浩氏。
実際は黒髪短髪のイケメンだったりする…。

このセッションは盛りだくさんで、まとめツイートを参照すると


ああ、盛りだくさん。

この中でdl子要素にdivを使うことが可能になったHTML 5.2勧告と、CSS Grid、jQueryが本当にオワコンなのかどうか?という部分が気になっていた。

CSS Gridが、なかなか使いやすそうな感触だったのに、例によって


IEめ…。

いついかなる時も、制作者を全力で殺しにかかるIE。
昔から見たら、本当に良くなっているけど、XPが想像を絶するほど延命したお陰で、長いことIE6の呪縛から逃れなかった過去を思い出すにつけ、恨みはつもっていく…。

2017年になって「jQueryはオワコン」という記事をちょくちょく見たので、このセッションではどういう扱いなのかな?と思っていたら


というのが真相で、オワコンっていうことではないらしい。
jsはそれほどくわしくないし、いますぐjQueryがオワコンと言われるのはちと辛い。
ただ、これから来るぜ!と言われている(言われ続けている)、ReactとかAngularとかVueはさっぱり分からないので、ここの概要を調べる必要があるかも。

これだけ押さえればOK!Adobeのツールを最大限活用するWebデザイン手法【2017】

事前にTwitterでアプリに関するアンケートを取っていて、これの結果発表をかなり楽しみにしていた。
外部とのデーターやりとりが発生しやすい環境でもあるので、Adobe製品から離れられずに20年。…本当に長いつきあいです。


これは意外だなーって思ったことの一つ。
デザイン系のイベント行くと、圧倒的にSketchの話が出てくるので、ここでも強いのかと思いきや…Photoshopが圧勝という結果に。

そして、2017年に正式版がリリースになったXd!


Xdをよく使う= 34.1%
Sketchをよく使う= 23.3%
…これも意外だけど、アンケートに答えた人はアプリ系が少なかったらしいので、それもやや影響しているのかも。

でも、この人の言うとおりで、


結局のところ、そのプロジェクトに合うツールであれば、紙とペンでもいいわけで、要はアプリを手足のように使えているか?が大事。
アプリに振り回されてはいけない。

そして、皆に惜しまれたのが


これ、便利だったんだよね。本当に残念。

最近のAdobeはXdなんか見てると、すごい本気を感じる。
何年か前まで「Adobeはやる気ないんじゃないのかー」と思うことも多かったけど、Xdには特に本気を感じる。だから、こちらもわくわくするんだろうなあ。

個人的に


とつぶやくと


…どうやら遠い過去から復活したようですw
ちょっと覗いてみたのですが、やっぱりかなり変わっていて、多分使いこなせないと思いますw

長いことAdobe製品を使ってきたけど、長く使っているが故に、新しい機能を知らなかったり、学習コストを恐れて、あえて古い方法を使ってたりと、案外古参ユーザーの方が非効率なことをしている場合がある。
なので、こういうセッションを聞くのはやっぱり必要。

アクセシビリティ 改め インクルーシブデザイン?

色々な意味で楽しめるこのセッション。今年も楽しんできました。

2017年はアクセシビリティ系のイベントにいくつか参加した。
個人的には、オリンピックが近いのでアクセシビリティに関してもビックウェーブが来るに違いないと考えてます。
前回の東京オリンピックで、ピクトグラムが世界中に広がったのは超有名な話。

乗るしかない、このビックウェーブに( ・ㅂ・)و


横文字は苦手だ…。
UIやらUXやらを極めようとすればするほど、アクセシビリティは避けて通れない課題で、そこで生まれた問題を克服するには、障害者・高齢者・外国人など様々な立場の人たちと一緒に開発するのが一番良い方法。


このセッションを含め、2017年のアクセシビリティ系のイベント参加した結果、そんな考え方になった。

IT技術は、様々は立場の人々に等しく情報を届けることを可能にした。
その技術を使わない手はないよね。
目の不自由な人、耳の不自由な人…色々な人たちがいるけど、そう言う人たちが手軽に情報を引き出し、利用できる環境を作る事は、結局のところ、全ての人達に福音をもたらすに違いない。

勤め人をしていると、「金にならない」という理由で、あまり良い返答は得られない事が多い。また、案件によってはどんなに頑張っても、アクセシブルなサイトは制作できないこともある。
でも、だからと言って諦めることもない。
実験できるところはいっぱいある。こんなにIT技術が発達したんだから。

長丁場の催し物なので、現地に出向くのは辛いということも多いけど、

  1. 同等の体験を提供する
  2. 利用者に制御させる
  3. 選択肢を提供する
  4. 状況を考慮する
  5. 一貫性を保つ
  6. コンテンツの優先順位をつける
  7. 価値を付加する

こういう素敵なものが手に入るのは、やっぱり現地で聴講するからだよね。

そして、そしてですね。

このセッションを吹き飛ばす(!)、素敵な動画は今年もありました!


ぜんぜん、アクセシビリティじゃなーーーい!
このネタ分かるの40歳以上ーーーーーwwww

動画の中身は、今回のセッションに関わるものです。
全く離れてるわけじゃないんですが、元ネタがアクセシビリティじゃないwww

大事なことは言ってるんですよ…言ってるんですが…。なぜそうなるwwwww

毎年恒例のこの動画、セッションを吹き飛ばすと有名ですが、これがないと年を越せない人も結構いたりします。
これを見ると、年末だなあとしみじみ思うわけです。


来年も期待しております。
これがないと、年末年始を感じられないカラダになってしまいました…( ゚д゚)

マーケティングの矛盾:事例で振り返る2017年のウェブマーケティング


広告収益でサービスを運用していると、広告ブロック機能を回避できないというのは結構致命的。
でもユーザー目線で行くと、迷惑行為をしでかす広告もあるので、ブロックしたくなるのは仕方ないかも。

ユーザーのスルー力もアップしているし、過去のように数打ちゃあたる攻撃とか、ユーザーの意志を無視した方法は受けなくなりつつある。
では、何を目指せばよいのか?

「態度変容」が鍵になるらしいけど、そもそも「態度変容」ってなに?

態度変容とは、動画広告やバナー広告などに触れたユーザーが、その企業や商品に対して好感を抱いたり、興味を持つ、実際の行動を起こすなどの気持ちの変化を示す。
参考:態度変容とは | 動研 | Viibar

感情に訴えるのが必要って事で間違いなかろうか?
この「態度変容」を起こすには6つのポイントがある。


もっとわかりやすく説明しているのがこちら。

そして、会場の380名のデザイナーが一斉にリピートアフタミー。


年末土曜日のうららかな午後。
突然、恋愛セミナーのような様相にwww

2017年に話題になった炎上マーケティング(結果そうなったのも含め)も上っていましたが、個人的には諸刃の刃だなと感じます。


過激な方法は危険だし、『マーケティングは恋愛です!』は言い得て妙な言葉で、どの業界でも重要視されている「人間の感情」を巧みに操るのが、遠回りに見えて一番の近道なのかもしれません。

フォントまわりのトレンド2017


と喜んでいた関口 浩之氏。合いの手が面白くて、このセッションも楽しかった。


チカラワザ・スウォッシュw

CSSで縦書きができるようになったり、Web界ではWebフォントが非常に使いやすくなってきた印象ですが、


中国は違うんだなー。意外と思ったりしました。

おじさんふたりが、ほんわかフォント愛を語るセッションでしたが、本当に面白い。
私自身、デザイン会社にMacが投入された頃に新卒入社しているので、手描きレタリングをしたり、写植の計算方法教えられたのは学生の時のみ。
フォントそれぞれに特色があって、こうやって解説を聞きながら見ていくと新しい発見がある。


バナーを作ると、この重要性は強く感じる。
デザインに合わないフォントを選んでしまうと悪目立ちして、格好悪いばかりじゃなく、伝えたいことも伝わらなくなる。
内容を表現する適切なフォントを選ぶことは、デザインの質を上げるためにも重要で、画面を構成する要素は、何一つ手を抜いてはいけないという証拠。

正直、学生の頃はレタリングがものすごく下手で、フォントタイプにそれほど興味があった訳じゃないけど。

フォント愛をここまで見せられると、やっぱり興味が湧くのが人の子ってもんですw

スマホアプリにおけるUIデザインのトレンド2017

アプリと言えば、2017年で大きかったなって言う話は


App Storeのトップページが全く変わってしまったこと。
カテゴリーの順位を見るには、かなり骨が折れるようになった。

順位を買っているデベロッパーがあると聞くし、App Storeの信頼性を守るためにも、お金をかけて順位を上げているアプリを排除する方向に舵を切ったのだろうと推察している。

ところで、アプリのインタラクティブ部分をどうやって伝えるかが、最近の課題になっていて、他社がどんなツールを使っているのが気になっていた。


サイバーエージェントはプロジェクト毎に使っているツールが異なるらしく、「これ」というものはないらしいという話も印象的だった。

データーの受け渡しの都合とか考えて、社内では同じツールを使うことが多いし、新しいものを率先して使う人間がいないと、新しいツールに手をつけることはなかなかない。
そう言う部分で、サイバーエージェントのメンバーは、よりよいツールを自発的に探す人が多いんだろうなあ…うらやましいという感想。


●●デザイナーという名称。本当に増えましたよね。
それだけ仕事も広がっていると言うことなのかもしれないけど。

そして、これも知りたかったこと。
どこで、どういう情報収集をしているのか。


ローマは一日にしてならず。やはり地道な活動が必要です…orz

Webデザイントレンド祭り 2017 – 次の10年のはじまり

「トレンド」と銘打たれているものの、


ということなので、「デザイン最適化祭り」ということなのかな。

毎年、名言が飛び出すこのセッション。
本当に多くのサイトを調べていて、年末恒例行事だなーと強く感じてしまう。
毎年参加していると


みたいな楽しみもできるわけです。


今年は動きのあるサイトも多く、スクショだけでは分からないことも多かったそう。
本当にお疲れ様です…。

今年も「フッター街」は健在でしたが、その特色として


上場すると「フッター街」が出現する!…というジンクスがあるそうでwww

このセッションでは造語が多く、今回のトレンドは「ツメツメ」「ピクニックシート」という言葉が飛び出していた。
言葉だけだとなんだか分からないけど、


「ツメツメ」は言葉の通り、スペースが殆ど無いデザイン。

そして「ロシアンデザイン」。

聞きながらつぶやいているので、自分がつぶやくとこうなる。


“Webフォント使ってる”だと言葉足らず。
Webフォントを使っているとそのままGoogle翻訳が使えるので、とても便利だよね、が抜けている。

もう一つ、2017年のトレンドとして「フチ勢」も上げられていました。

横スライドメニューも戻ってきているという話も印象的で、モニターサイズにも関係しているのかなと思ってみたり。


『トレンドは溶け合う。』というのは名言ですよね。
そして、サイトにも「キャラ立ち」が必要になってきたというのも、スマートスピーカーの出現が大きいのかもしれません。

今までの10年。これからの10年。(エピローグ)

いつも素敵なプレゼン資料の中川 直樹氏のセッション。


一つの企業における仕事の変遷を見ると、「10年」という月日の中で色々なことが変わっていっているのが伺える。

アートディレクター・デザイナーが減り、フロントエンドが増る。
ディレクターやデザイナーが片手間でやるのではなく、専業のコピーライターや映像ディレクターが増えた、というところにも「より専門的な人を」というところが分かる。

中川氏の会社の場合は、より高度な専門性を求められているようなので、結果、集まる人間も専業のプロフェッショナルになりやすいのかも。


今までの10年、デザインと言えば「見た目」で語られていたことがほとんどだったけど、これからの10年はデザインの本質である「伝える事」という、根本的な部分に光が当てられてくるかも。


「ユビキタス」って言わなくなったよね、とツイートしている人も多く、全ては「流れ去る」んだなあと感じた。

では、「流れ去らないもの」はどんなものか?


基礎力ですね。
AIに仕事が奪われるかもとか言われてる昨今、より深く基礎力を養う必要が出てきたわけだ。


ここで基調講演に繋がる。
『強い者、賢い者が生き残るのではない。変化できる者が生き残るのだ。』っていうこと。

最近思うことがある。
18代目中村勘三郎は、従来の歌舞伎の枠を飛び出した革新的な歌舞伎役者だったけど、実のところ、伝統を非常に大事にした役者でもあった。
長く伝わってきた伝統を守らなければ、基礎的なことができなければ、どんな革新的な舞台も作れないと考えていた。

私たちが目にする時、やっぱり「革新的な」という部分に魅せられて、その根底に流れる基本的な部分はおろそかになりやすいのだけど、守備範囲を広げるにしても、全く新しい事をするにしても、土台がなければあっという間に崩れてしまう。

守りながらも変化する。
言葉にするのは簡単で、しかし実行するのは難しい。
この先10年と言わず、半年後、1年後。
今手にしているものを守りながらも拡張することができるか。

そこに生き残りのヒントがあると考える。

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togetterのまとめはこちら
Shift11:Webデザイン行く年来る年(CSS Nite LP55)

今回は「10年前・10年後」がキーワードの一つだったけど、振り返れば、制作環境は激変した年月でもあったなって思う。
気づかないうちに遠くに来たもんです。

デザイナーという職業は20年続けてきたけれど、そのスタートは建築系(サインデザイン)で紙もちょっとやっていた。
たまたまWebデザインの需要が増えた頃に会社を辞めて、その後10年近く、サインデザインとWebデザインを生業にフリーランスをやっていた。
色々考えた末に、会社員に戻ったけど、気づいたら、ガラケーサイトを作り、スマホサイトを作り、ネイティブアプリのデザインをやっていた。

Web専業になって10年程、サインデザインと兼業してから15年ほどなはずなんだけど、本当に色々なことがすさまじいスピードで変わっていった。

2018年はどうなるのか?
…色々覚えることが多そうで、今から震えているw

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