内定取り消しが続く昨今。デザイン業界もお寒い空気が漂っている。
今のところ、ありがたいことに私の所には直接来ていないが、すでにその渦中に身を置いており、来年はどうなる事やら・・非常に危機感を覚えます。
不況になったらなにを切るかというと「広告費」ですから。
超氷河期時代に新卒だった私としては、この時期に内定取り消しになった学生達を見ると、自分のかつての姿を見ているようで非常に気の毒です。・・というか、もっとひどいことになっているような気がする。
ちなみに、私が就職を決めたのは12月末。それも一度落とされた企業に敗者復活というラッキーな内定の取り方です。アレがなかったら間違いなく正社員にはなれなかったし、今のように仕事をすることもでなかったと断言できるくらいだ。
私が就職活動をしている頃、新卒採用募集がほとんどなかったのでエラく苦労したものだが、こんな年末になって内定取り消しとは・・心安らかな年末年始から地獄へ急転直下。取り消しになった学生の心情を考えると、最初から新卒採用募集がない方がマシというものである。
一部企業からは採用取り消しについて、一人あたり100万円ほどの保証金を出すようだが、心情的なものを考えると「それじゃ足りません」だ。
1997年山一証券が廃業した時は490人もの内定取り消しがあったが、あれもすごかった・・1997年と言えば私が社会人1年目の時である。当時の会社の先輩が飲みに行った先で接客していた女性が「山一から内定を貰いました」と喜んでいたと聞いた直後だったので、あのショックは計り知れない。
山一の場合は廃業してしまったので、先頃内定取り消しを行った企業とはちょっと違うが、あの後の経済状況を考えると背筋が寒くなる。なにせ、同業者がばったばったと倒産し、「都市銀はつぶしません!」と政府が宣言した直後に北海道唯一の都市銀行・北海道拓殖銀行が倒産したんだから・・おかげで北海道はそれまで以上にばったばったと倒産する企業が増え、東京圏の経済が上向きになった頃でさえ、不況の影響から抜けきれず、ずーーーっと景気が悪いままだったのだ。
先日、一度内定を取り消した企業の経営者が、結局考え直して内定を再度下ろしたというニュースを見た。
「企業として非常に厳しいが、ここで内定を取り消してしまったら、将来的に困るのは自分の会社だ」というのがその理由。仰るとおり。
私の20代の時期は世に言う「失われた10年」だ。
その「失われた10年」を過ぎた後、私たちの世代がどうなったかというと、ほとんどが正社員になれず、日雇い労働や派遣でなんとか生きているという「ワーキングプア」が続々と登場し、企業では団塊の世代が次々と定年退職し職場は空洞化。
企業の中においては、私たちの世代の層が薄く、これから10年先20年先の企業運営は難しくなるのでは?という嫌な予想もある。
先々運営が難しいなら、日雇い労働者や派遣労働者を正社員に登用したら?という考えは基本的に「NO!」で、結局「失われた10年」世代は、新卒時の正社員採用から漏れてしまうと敗者復活はないという事をかみしめることになった。
たしかに30代でまったく正社員経験がないとなると結構辛いものがあるが、かと言ってこのままにしておけば彼らは定住先を確保することも結婚もできないし、そうなると子どもを儲けることもない。結果、少子化は大加速・・・とお約束の末路をたどって、日本経済はどう考えても大破綻する(今だってもう破綻してるけど)。
企業は社員の生活を守らなければならない。
だが、経済は循環してるのだ。安定した生活を送れない人間が多ければ多いほど、物品の消費は減るのだから、企業の利益は増えず減っていく。そうなると企業は社員を雇い続けるのが難しくなる→リストラ→生活できない人間が増える→購入意欲は思いっきり低下→利益減る→企業の体力がなくなる→リストラ・・・という、ぐるぐる最悪スパイラル。
そんな事を考えてると、経済対策だとか言って、国民全員に1万円ちょっと端金をばらまこうとしている議員の頭はどうなってるのか一度かち割ってみたくなる。
総額からしたら相当の税金投入になるのだろうが、それを国民に分配すると1万ちょっと・・それで経済対策になるわけ?また、中小企業が正社員を雇った場合、一人につき100万円の補助金を出すという話も出てきているようだが、100万円ぽっちの補助金で正社員雇おうと思う中小企業があるわけ?人を雇うというのは、彼らに支給する給料以上にお金がかかってるんだぞー。
議員ならもっと広い視点で税金を使って欲しいもんである。
その時々の人気取りのために端金にしかならない金額を個人に放出するなら、5年後10年後にその成果が出るような対策を考えて欲しい。
・・・って天国に近い議員が多いので、5年後10年後の成果など考えている議員などいないか( ̄_ ̄;
ともかく、ばかばかしい政争してるんだったら、もっと他に頭使ってくれ。
一般市民は明日をも知れぬ生活してるんだから。